はじめて電気の参考書を手に取ったとき、専門用語の多さに戸惑った経験はないでしょうか。第二種電気工事士のおすすめテキストを正しく選べば、知識ゼロからでも学科・技能の両方に無理なく対応できます。この記事では、テキストを選ぶときの比較軸と学科・技能それぞれのおすすめ教材を、実際の内容とあわせて紹介します。
第二種電気工事士は、一般住宅や店舗などの600V以下で受電する設備の電気工事を行うために必要な国家資格です。受験資格に制限がなく、学歴や実務経験も問われないため、毎年多くの人が挑戦しています。
試験は学科試験と技能試験の2段階に分かれており、それぞれ求められる対策が異なります。学科は知識のインプットが中心ですが、技能は実際に手を動かして配線を組み立てる実技試験です。
そのため、1冊だけですべてをカバーしようとすると、どちらかの対策が手薄になりがちです。結論から言うと、学科用と技能用を分けて、自分の理解度に合ったテキストを組み合わせることが合格への近道です。

第二種電気工事士のテキスト選びで失敗しないための比較軸4つ
書店には第二種電気工事士のテキストが数多く並んでおり、どれを選べばよいか迷う人も多いはずです。ここでは、内容を比較するときに見るべき4つの軸を紹介します。
フルカラーか図解の量かで理解のしやすさが変わる
電気工事の分野は、配線の色やケーブルの種類など、文字だけでは伝わりにくい情報が多くあります。オールカラーで写真やイラストが豊富なテキストなら、器具の見分け方や工具の使い方を直感的に理解できます。
一方、モノクロ中心のテキストは情報量が多く見える反面、初心者には図と文字の対応が分かりにくいことがあります。書店で中身を見られる場合は、複線図のページを開いて色分けの見やすさを確認するとよいでしょう。
過去問の収録年数と解説の詳しさをチェックする
第二種電気工事士の学科試験は、過去問と似た問題が繰り返し出題される傾向があります。そのため、過去問が何年分収録されているかは、テキスト選びの大きな判断材料です。
解説の詳しさも重要な視点です。答えだけでなく、なぜその選択肢が誤りなのかまで説明されているテキストなら、同じ間違いを繰り返しにくくなります。巻末にPDFで追加の過去問を配布しているシリーズもあり、実質的な演習量を増やせます。
CBT試験に対応したWeb模試の有無を確認する
近年、第二種電気工事士の学科試験はCBT方式、つまりコンピューターの画面上で解答する形式が導入されています。紙の問題集だけで勉強していると、当日の画面操作に戸惑う可能性があります。
Webアプリで模擬試験に挑戦できるテキストを選べば、事前に画面のレイアウトや解答方法に慣れておけます。特に、パソコン操作に不安がある人は、この機能の有無を優先して確認することをおすすめします。
学科用と技能用のテキストは別々に選ぶのが基本
学科試験は暗記と計算が中心ですが、技能試験は配線の施工技術を問う実技試験です。求められる能力がまったく異なるため、1冊で両方を網羅しようとするテキストは、どちらの対策も浅くなりがちです。
以下は、代表的なテキストを比較した表です。目的に合わせて組み合わせて使うと、対策の抜け漏れを防げます。
| テキスト名 | 対応試験 | 出版社 | 参考価格 |
|---|---|---|---|
| 電気教科書 第二種電気工事士 はじめての人でも受かる!テキスト&問題集 | 学科 | 翔泳社 | 1,980円 |
| 第二種電気工事士試験完全攻略 学科試験編 | 学科 | 技術評論社 | 参考書店価格 |
| 第二種電気工事士試験完全攻略 技能試験編 | 技能 | 技術評論社 | 2,420円 |
| 第二種電気工事士技能試験これで合格!候補問題丸わかり | 技能 | 電気書院 | 1,540円 |
学科試験対策におすすめのテキスト3冊
学科試験は、電気理論や配線図記号など幅広い範囲から出題されます。ここでは、初心者でも取り組みやすいテキストを3冊紹介します。
ユーキャンの第二種電気工事士筆記試験合格テキスト&問題集
このテキストは、資格試験シリーズとして知られるユーキャンから出版されています。イラストや図表が豊富に使われており、電気の知識がまったくない人でも読み進めやすい構成です。
各レッスンの冒頭に1コマ漫画が入っているのも特徴です。学習する内容の全体像を先につかんでから本文を読めるため、細かい用語につまずきにくくなっています。
電気教科書 第二種電気工事士はじめての人でも受かる!テキスト&問題集
翔泳社から発売されているこのシリーズは、オールカラーで学びやすい構成が特徴です。過去問題を分析し、重要度を3段階の星印で示しているため、優先順位をつけて学習を進められます。
巻末には直近の学科試験問題と解説を掲載しており、さらに令和4年度以降の過去問PDFをダウンロードできる仕組みもあります。1冊で過去問題集としても使える点は、テキストを何冊も買いたくない人に向いています。
第二種電気工事士試験完全攻略 学科試験編
技術評論社から発売されているこのテキストは、全ページカラーで写真を豊富に使い、平易な文章で説明されている点が特徴です。B5判336ページというボリュームで、出題頻度の高いテーマを過去問から厳選しています。
毎年10万人以上が受験する試験に合わせて、令和8年度版として内容が更新されています。基礎から一通り学びたい人に向いた構成です。
学科テキストを選ぶときに見落としやすいポイント
複数のテキストを見比べていると、内容量やデザインばかりに目が行きがちです。しかし、実際に使い続けられるかどうかは、文字の大きさや持ち運びやすさといった細かな部分にも左右されます。
通勤中にスマートフォンで問題を解きたい人は、Webアプリやアプリ連携の有無も確認しておくとよいでしょう。紙のテキストとアプリを併用すると、すきま時間の学習効率が上がります。
技能試験対策におすすめのテキスト3冊
技能試験は、あらかじめ公表される候補問題の中から出題され、実際に配線を組み立てる実技試験です。ここでは、施工の手順を理解しやすいテキストを紹介します。
技能試験の候補問題は事前に公表されるため、テキストで手順を覚えておけば、練習量に比例して得点力が上がりやすい試験です。
第二種電気工事士試験完全攻略 技能試験編
このテキストは、オールカラーページで配線の色や材料の種類が手に取るように分かる構成です。施工手順が細かく説明されているだけでなく、欠陥例も取り上げているため、本番さながらの感覚で練習できます。
出題候補問題13問の複線図が載ったZ折り用紙が付属しており、持ち運びながら復習できる点も特徴です。技能試験の準備をこれから始める人に向いています。
第二種電気工事士技能試験これで合格!候補問題丸わかり
電気書院から発売されているこのテキストは、候補問題13問をそれぞれ詳しく解説している点が特徴です。品質管理の専門家が監修しており、実務に近い視点での注意点が盛り込まれています。
候補問題ごとに使用する材料や工具がまとめられているため、練習前の準備をスムーズに進められます。1冊で候補問題を一通り網羅したい人に向いています。
複線図の描き方をていねいに説明しているかで選ぶ
技能試験でつまずきやすいポイントの一つが、単線図から複線図を描き起こす作業です。この工程でミスをすると、そのあとの施工作業すべてに影響してしまいます。
複線図の基本手順だけでなく、3路スイッチやパイロットランプがある場合の描き方まで解説しているテキストなら、応用問題にも対応しやすくなります。図解のステップ数が多いテキストほど、独学でもつまずきにくい傾向があります。
練習材料キットとセットで選べるかも確認する
技能試験はテキストを読むだけでなく、実際にケーブルや器具を使って手を動かす練習が欠かせません。テキストによっては、出版社や販売元が練習材料セットを別売りで用意している場合があります。
材料セットとテキストの候補問題番号が対応していると、解説を見ながらそのまま練習を進められます。工具や材料を個別にそろえる手間を減らしたい人は、セット販売の有無も確認しておくとよいでしょう。
独学でテキストだけ合格を目指すときの注意点
第二種電気工事士は、通信講座を使わずテキストだけで合格を目指す人も多い資格です。ここでは、独学で取り組む場合に押さえておきたいポイントを紹介します。
独学に向いている人・向いていない人
独学に向いているのは、自分でスケジュールを立てて淡々と進められる人です。学科試験は暗記中心のため、テキストと問題集を繰り返す学習スタイルと相性がよい傾向があります。
一方、技能試験は器具の使い方や施工の感覚をひとりで身につける必要があります。身近に電気工事の経験者がいない場合、フォームの誤りに自分で気づきにくいという弱点もあります。
テキストだけで学科試験を突破する勉強法
学科試験のテキストだけで合格を目指す場合、最初から全ページを丁寧に読み込む必要はありません。まずは章末の問題を解き、間違えた部分だけ本文に戻って確認する方法が効率的です。
過去問を繰り返すうちに、頻出テーマが自然と見えてきます。電気工事の知識がまったくない状態からでも、過去問中心の学習で合格ラインに到達している人は少なくありません。
技能試験こそテキスト+練習量が必須な理由
技能試験は、テキストを読んだだけでは身につかない実技試験です。候補問題は事前に公表されているため、テキストの手順どおりに実際の材料で施工を繰り返す練習が欠かせません。
早い段階で1回、時間を計って通しで作品を仕上げてみると、自分の弱点がはっきりします。そのうえでテキストの該当ページに戻って復習すると、練習の質が上がります。
独学でつまずきやすい失敗例と対策
独学でよくある失敗の一つが、複線図の描き方をあいまいなまま覚えてしまうことです。単線図から複線図に書き起こす練習を省略すると、施工の段階で配線を間違えやすくなります。
候補問題の答えを丸暗記し、単線図から複線図を自分で描く練習をしないまま技能試験当日を迎えてしまうケース。
対策としては、候補問題13問すべてについて、何も見ずに複線図を描けるようになるまで繰り返すことです。もう一つの失敗例は、欠陥の基準を確認せずに練習を終えてしまうことです。
1つの候補問題を仕上げたら、テキストの欠陥例と自分の作品を見比べ、寸法や結線のミスを毎回チェックしてから次の候補問題に進むケース。
テキストに欠陥例が載っている場合は、完成させて終わりにせず、必ず見比べる工程を挟むと本番でのミスを減らせます。
テキストを使った効率的な勉強スケジュール
テキストを買っても、進め方が決まっていないと学習が途中で止まってしまいがちです。ここでは、標準的なスケジュールの目安を紹介します。
学科試験までの標準スケジュール
学科試験の対策には、1日1時間程度の学習でおよそ2〜3か月が目安とされています。最初の1か月でテキストを1周し、残りの期間を過去問演習にあてる進め方が基本です。
働きながら勉強する人は、平日にテキストを読み、休日にまとめて問題を解くパターンが続けやすいでしょう。1週間ごとに進捗を振り返ると、遅れに早く気づけます。
技能試験の複線図・欠陥対策にかける時間配分
技能試験の準備期間は、学科試験の結果を待つ前後を含めて1〜2か月ほど確保できると安心です。前半は複線図を描く練習に、後半は実際の材料を使った施工練習に時間を配分します。
候補問題は13問あるため、1問あたりにかけられる時間は限られます。テキストの解説を見ながら1問30分前後で組み立てられるよう、繰り返し練習することが上達の近道です。
すきま時間にできるテキスト活用法
まとまった学習時間を取りにくい人は、通勤時間などのすきま時間を活用する方法があります。スマートフォンで解ける問題集アプリ付きのテキストなら、紙のテキストを開けない場面でも学習を続けられます。
複線図の描き方など、手を動かす練習が必要な単元は自宅でまとめて行い、暗記系の単元はすきま時間に回すといった使い分けが効果的です。
直前1週間のテキストの使い方
試験直前の1週間は、新しい範囲に手を広げるより、これまで間違えた問題を見直す期間にあてます。テキストの問題演習で間違えた箇所に印をつけておくと、直前の見直しがスムーズになります。
技能試験の直前は、時間を計って候補問題を1〜2問通しで仕上げ、テキストの欠陥例と照らし合わせる作業を最後まで続けると、当日の安定感につながります。
合格率・受験者数データで見る第二種電気工事士の難易度
テキストを選ぶ前に、試験そのものの難易度を知っておくと、必要な勉強量をイメージしやすくなります。ここでは、直近の合格率と受験者数のデータを紹介します。
学科試験の合格率の推移
学科試験の合格率は、年度や実施回によって変動が見られます。令和5年度から令和7年度にかけての合格率は、上期・下期ともにおおむね55%台後半から60%程度で推移しています。
出典:一般財団法人電気技術者試験センターの発表データをもとに作成(2025年度)
大きく崩れる年度は見られないものの、下期は上期よりやや低くなる傾向があります。テキスト選びの段階では、6割前後の得点を安定して取れる状態を目標にするとよいでしょう。
技能試験の合格率の推移
技能試験の合格率は、学科試験よりも高めで安定しています。直近の実施回では、技能試験の合格率はおよそ68%から74%程度の範囲で推移しています。
| 実施時期 | 学科試験合格率 | 技能試験合格率 |
|---|---|---|
| 2025年度上期 | 57.7% | 72.0% |
| 2025年度下期 | 55.4% | 71.4% |
| 2024年度上期 | 60.2% | 70.1% |
| 2024年度下期 | 55.9% | 69.5% |
技能試験は、候補問題が事前に公表されている分、練習量に比例して得点が伸びやすい試験といえます。合格率の高さは、テキストと練習の積み重ねが結果に直結しやすいことを示しています。
受験者数から分かる資格の人気
令和7年度の第二種電気工事士の受験申込者数は、約18万5,000人にのぼります。年齢や学歴を問わず受験できる資格であることが、この人数の多さにつながっています。
他の電気関連資格と比べても受験者数が多く、はじめての国家資格として選ばれやすい傾向があります。詳しい試験日程や結果の発表状況は、電気技術者試験センターの試験結果ページで確認できます。
難易度から逆算したテキスト選びのヒント
合格率のデータからは、学科・技能ともに、基礎を丁寧に積み上げれば十分に合格を狙える試験であることが読み取れます。ただし、学科試験は年度によって55%台まで下がることもあるため、油断は禁物です。
学科試験の合格率は年度差があるため、直近の合格ラインぎりぎりを目標にせず、余裕を持った得点を目指すテキストの使い方をおすすめします。
技能試験は合格率が高めとはいえ、練習不足のまま受験すると欠陥で不合格になるケースもあります。テキストは読むだけで終わらせず、演習とセットで使うことが、データからも裏付けられる合格への近道です。
まとめ
ここまで、第二種電気工事士のおすすめテキストと選び方を紹介してきました。学科試験と技能試験では求められる対策がまったく異なるため、テキストも目的に合わせて分けて選ぶことが基本になります。
学科試験用は、フルカラーで図解が豊富か、過去問の解説が詳しいか、CBT対応のWeb模試があるかを基準に選ぶと、初心者でも取り組みやすくなります。技能試験用は、複線図の描き方や欠陥例の説明が丁寧なテキストを選び、練習材料とセットで活用することが効果につながります。
独学で挑戦する場合は、学科は過去問中心、技能は候補問題13問を何度も描いて組み立てる練習が欠かせません。合格率のデータからも、テキストと演習量の積み重ねが結果を左右することが分かります。
自分の得意・不得意や勉強に使える時間を踏まえて、この記事で紹介したテキストを組み合わせてみてください。無理のないスケジュールでテキストを使い続けることが、第二種電気工事士合格への確実な一歩になります。
よくある質問
- Q第二種電気工事士のテキストは何冊必要ですか?
- A
最低限、学科試験用と技能試験用を1冊ずつ用意すれば対策を始められます。過去問集が別冊になっているシリーズを選ぶ場合は、あわせて3冊程度になることもあります。
- Q独学でも第二種電気工事士に合格できますか?
- A
独学でも合格を目指せる試験です。学科は過去問中心の学習、技能は候補問題を実際の材料で繰り返し練習することが、独学合格のポイントになります。
- Q学科試験と技能試験、どちらのテキストを先に用意すべきですか?
- A
試験は学科が先に実施されるため、まずは学科用のテキストから取り組みます。技能試験用のテキストと練習材料は、学科試験の直後から使い始めても間に合います。
- Q古い年度のテキストを使っても問題ありませんか?
- A
制度や候補問題が変わっていない年であれば、1〜2年前のテキストでも大きな支障はありません。ただし、法改正や候補問題の変更がある年は、最新版を選ぶと安心です。
- QCBT試験とは何ですか?
- A
CBT試験とは、紙ではなくコンピューターの画面上で解答する試験方式のことです。第二種電気工事士の学科試験で導入されており、事前にWeb模試で操作に慣れておくと安心です。
- Qテキスト以外に必要な教材はありますか?
- A
技能試験では、テキストに加えてケーブルや器具などの練習材料が必要です。テキストと連動した材料セットを使うと、解説を見ながらそのまま練習を進められます。

