「A型事業所の給料は8万円くらいと聞いたけれど、本当にそれだけなの?」と気になっていませんか。就労継続支援A型で働くことを考えるとき、仕事内容と同じくらい気になるのが毎月の給料です。
A型事業所の給料は、厚生労働省が公表した令和6年度実績で全国平均月91,451円です。ただし、この数字だけを見て自分の給料も9万円前後だと考えるのは早いです。A型では時給、1日の勤務時間、月の勤務日数、地域の最低賃金によって月収が大きく変わります。
この記事では、最新の公的データをもとにA型事業所の平均給料、最低賃金との関係、手取りの考え方、B型との違いを整理します。さらに勤務時間別の月収シミュレーションも用意したので、「自分なら毎月いくらになるか」を具体的に考えられます。

A型事業所の給料はいくら?全国平均は月91,451円
A型事業所の給料を知りたいなら、まず全国平均を基準にすると全体像をつかみやすくなります。厚生労働省の令和6年度実績では、就労継続支援A型の平均賃金月額は91,451円でした。
令和5年度は86,752円だったため、1年間で4,699円増えています。数年前と比べても上昇傾向で、令和元年度の78,971円から令和6年度までに約1万2,500円上がりました。
ここでいう「平均賃金月額」は全国の実績を平均した数字です。あなたが実際にもらう月給を示す金額ではありません。地域の最低賃金、勤務時間、勤務日数、事業所の賃金設定によって差が出ます。
| 年度 | A型の平均賃金月額 |
|---|---|
| 令和元年度 | 78,971円 |
| 令和2年度 | 79,625円 |
| 令和3年度 | 81,645円 |
| 令和4年度 | 83,552円 |
| 令和5年度 | 86,752円 |
| 令和6年度 | 91,451円 |
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」。令和元年度と令和4年度は令和8年3月に公表された修正値を使用しています。
グラフを見ると、令和2年度以降は平均賃金月額が毎年増えています。ただし、平均額の上昇と個々の事業所の給料は別なので、応募前には必ず求人票の時給と勤務時間を確認してください。
最新データの詳細は、厚生労働省の平均工賃・平均賃金月額の実績でも確認できます。
A型事業所の給料に最低賃金は適用される
A型事業所の大きな特徴は、利用者と事業所が雇用契約を結ぶ点です。そのため、雇用契約の対象となる利用者には労働関係法令が適用され、原則として地域別最低賃金以上の賃金が必要になります。
B型事業所で受け取る「工賃」と、A型事業所で受け取る「賃金」は同じではありません。この違いを知っておくと、A型の月収がB型より高くなりやすい理由も理解しやすくなります。
A型事業所では「福祉サービスを利用しながら、雇用契約を結んで働く」のが基本です。給料だけではなく、労働時間や休憩なども雇用条件として確認しましょう。
A型事業所の時給は地域によって変わる
最低賃金は全国一律ではなく、都道府県ごとに決められます。そのため、同じ1日4時間・月20日勤務でも、東京都と地方では最低賃金の差によって月収が変わります。
2026年9月時点では、令和8年度の改定額が各都道府県で答申されています。答申ベースの全国加重平均は1,177円で、前年より56円高い水準です。ただし、新しい最低賃金は答申が出た瞬間から使われるわけではありません。
最低賃金を見るときは「金額」だけでなく「発効日」も確認してください。2026年度の改定額は都道府県ごとに発効日が異なり、発効前はそれまでの最低賃金が適用されます。
都道府県別の現在の金額と発効日は、厚生労働省の地域別最低賃金全国一覧で確認できます。
A型事業所の月収は時給×勤務時間×勤務日数で考える
自分の給料を予想するときは、全国平均よりも求人票の条件から計算するほうが正確です。基本的な計算は「時給×1日の労働時間×勤務日数」で考えられます。
- 求人票で時給を確認する
- 1日の実働時間を確認する
- 1か月の予定勤務日数を掛ける
たとえば時給1,100円で1日4時間、月20日なら、単純計算の月収は88,000円です。1日の勤務時間が5時間になれば110,000円となり、同じ時給でも2万2,000円の差が出ます。
A型事業所の給料を勤務時間別にシミュレーション
「平均9万円」と聞くだけでは、自分がいくら受け取れるかイメージしにくいものです。そこで、ここでは時給1,100円、月20日勤務という共通条件で勤務時間だけを変えて計算します。
| 1日の勤務時間 | 計算 | 月収の目安 |
|---|---|---|
| 3時間 | 1,100円×3時間×20日 | 66,000円 |
| 4時間 | 1,100円×4時間×20日 | 88,000円 |
| 5時間 | 1,100円×5時間×20日 | 110,000円 |
| 6時間 | 1,100円×6時間×20日 | 132,000円 |
同じ時給でも、3時間勤務と6時間勤務では月収が2倍になります。A型事業所の給料を比較するときは、時給だけを見ず、「時給×実働時間×勤務日数」で月額まで計算するのがコツです。
求人票に「時給1,200円」と書かれていても、1日3時間なら月20日で72,000円です。一方、時給1,100円でも1日5時間働けば110,000円になります。高時給=高月収とは限りません。
独自シミュレーション|3人ならA型事業所の給料はどう変わる?
事業所選びで見落としやすいのが「自分が無理なく続けられる時間」です。ここでは生活リズムが異なる3人を想定し、給料だけでなく働きやすさも合わせて考えてみます。
| ケース | 勤務条件 | 月収例 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| Aさん | 時給1,100円・3時間・20日 | 66,000円 | 短時間から生活リズムを整えたい |
| Bさん | 時給1,100円・4時間・20日 | 88,000円 | 全国平均に近い水準を想定 |
| Cさん | 時給1,100円・6時間・20日 | 132,000円 | 一般就労への移行も意識する |
Aさんが無理に6時間勤務を選び、欠勤が増えてしまえば、計算上の月収132,000円を受け取れるとは限りません。反対に、3〜4時間から安定して出勤し、体調を見ながら勤務時間を伸ばす方法もあります。
事業所選びでは「いちばん給料が高い所」だけでなく、「自分が毎月安定して通える勤務時間か」という視点を加えると、実際の収入を維持しやすくなります。
A型事業所の給料の手取りは利用料や社会保険で変わる
求人票に書かれている月収と、銀行口座に入る手取り額は同じとは限りません。働き方によって税金や雇用保険、健康保険、厚生年金などが関係する場合があるためです。
さらにA型事業所は雇用の場であると同時に障害福祉サービスでもあるため、所得区分によってはサービスの利用者負担が発生します。交通費や昼食代なども事業所によって扱いが違います。
手取りを比べるときは「額面給料-保険料等」だけでなく、通所にかかる交通費や利用者負担も含め、1か月後に実際いくら残るかで考えると分かりやすくなります。
A型事業所の利用料は所得に応じて上限がある
障害福祉サービスの自己負担には、所得に応じた月額上限があります。厚生労働省によると、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯の負担上限は0円です。
| 所得区分 | 負担上限月額 |
|---|---|
| 生活保護 | 0円 |
| 低所得・市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 9,300円 |
| 一般2 | 37,200円 |
上限額は「必ずその金額を払う」という意味ではありません。実際の負担額はサービス利用状況などで変わるため、利用開始前に自治体や相談支援事業所へ確認すると安心です。
ネット上の「A型なら利用料は必ず無料」「給料から必ず9,300円引かれる」といった説明は正確ではありません。所得区分によって負担上限が違います。
A型事業所の交通費は求人票で確認する
毎月の収入を考えるなら交通費も無視できません。電車やバスで往復500円かかり、月20日通うなら通所だけで1万円です。
交通費を全額支給する事業所、一部だけ支給する事業所、原則自己負担の事業所など条件はさまざまです。月給が数千円高くても交通費の差で逆転することがあります。
A型事業所とB型事業所は給料・工賃の仕組みが違う
A型とB型のどちらを選ぶか迷っている人は、金額だけで比較しないほうがよいでしょう。最大の違いは、A型では原則として雇用契約を結ぶのに対し、B型では雇用契約を結ばない点です。
令和6年度の全国平均を見ると、A型の平均賃金月額は91,451円、B型の平均工賃月額は24,141円です。ただしB型は令和5年度から平均工賃月額の算定方法が変わっているため、以前の年度との単純比較には注意が必要です。
| 比較項目 | A型事業所 | B型事業所 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | 原則あり | なし |
| 受け取るお金 | 賃金・給料 | 工賃 |
| 令和6年度全国平均月額 | 91,451円 | 24,141円 |
| 最低賃金 | 雇用契約部分は原則適用 | 雇用契約がないため同じ仕組みではない |
| 向いている状態 | 雇用契約に基づく継続就労が可能 | 雇用契約での就労が難しい場合にも利用 |
「平均給料が高いからA型のほうが自分にも合う」とは限りません。体調、必要な配慮、通所できる日数、働ける時間を含めて選ぶ必要があります。
厚生労働省はA型の対象者を、一般企業などでの雇用が難しくても、支援を受けながら雇用契約に基づき継続して働ける人としています。A型は一般就労とB型の単純な「中間」というより、雇用契約を結びながら支援を受ける働き方と考えると分かりやすいでしょう。
A型事業所の給料だけで生活できる?家計全体で考える
「A型事業所の給料だけで一人暮らしできるのか」は、検索する人が特に気にする疑問です。全国平均の月91,451円だけを収入と考えると、家賃、食費、水道光熱費、通信費などをすべて払うのは厳しい地域も少なくありません。
ただし、実際の生活状況は人によって違います。家族と暮らしている人、グループホームを利用する人、障害年金など別の収入がある人では必要な金額も大きく変わります。
「A型の平均給料だけで生活できるか」ではなく、「自分の毎月の収入と固定費を比べて赤字にならないか」を確認するのが現実的です。
A型事業所の給料と障害年金は別制度として考える
A型で働いていることだけを理由に、障害年金が自動的に止まるわけではありません。ただし障害年金は障害の状態を審査する制度であり、就労状況が認定の資料として見られる場合があります。
そのため「A型なら必ず給料と障害年金を両方もらえる」と一律には言えません。受給している年金の種類、障害の状態、更新時の診断書など個別事情が関係します。
障害年金の継続や等級について不安がある場合は、事業所だけで判断せず、年金事務所や社会保険労務士など制度を確認できる窓口へ相談してください。
一人暮らしを考えるなら月の固定費を書き出す
生活できるか判断するときは、まず毎月必ず出ていくお金を書き出します。家賃4万円、食費3万円、水道光熱費1万円、通信費5,000円なら、それだけで8万5,000円です。
ここに日用品、通院費、交通費、衣服代などが加わります。平均賃金91,451円だけでは余裕が小さいことが分かりますが、これはあくまで一例です。
A型事業所の給料で失敗しないために求人で確認したい7項目
同じ「A型事業所」という名前でも、仕事や勤務条件はかなり違います。給料だけを比べて決めると、働き始めてから「思っていた月収にならない」と感じることがあります。
見学や面接では、最低でも次の7項目を確認しておくと安心です。求人票に書かれていない内容は、その場で質問して構いません。
「時給がいちばん高いから」という理由だけで選ぶのは避けたいところです。通勤に片道1時間かかったり、体調に対して勤務時間が長すぎたりすると、継続して働けず結果的に月収が下がることがあります。
A型事業所の見学では実際の働き方を見る
求人票から分かるのは条件の一部だけです。見学できるなら、利用者がどのようなペースで働いているか、休憩を取りやすいか、職員へ質問しやすいかも見てください。
パソコン作業が中心の事業所、清掃、飲食、軽作業、農作業など仕事内容も幅があります。同じ4時間勤務でも、自分に合った仕事なら安定して続けやすくなります。
見学時には「体調を崩したときの相談方法」「欠勤後の復帰方法」「勤務時間を増減するときの相談手順」まで聞いておくと、長く働くイメージを持ちやすくなります。
A型事業所の給料を増やすには勤務時間と次の働き方を考える
A型で収入を増やす方法は、単純な時給アップだけではありません。体調を保ちながら勤務時間や勤務日数を増やせれば、同じ時給でも月収は増えます。
たとえば時給1,100円で月20日働く場合、1日4時間から5時間へ増やすと月収は88,000円から110,000円になります。1日1時間の差でも月額では2万2,000円の差です。
収入を増やしたいときは、無理に勤務時間を増やすのではなく、支援員と相談しながら「安定して続けられる時間」を少しずつ広げる方法が現実的です。
A型事業所の昇給・手当があるか確認する
事業所によっては最低賃金より高い時給を設定したり、業務内容や能力に応じて昇給制度を用意したりしています。求人票に「昇給あり」と書かれている場合でも、条件まで確認すると判断しやすくなります。
「何か月働けば上がるのか」「評価項目は何か」「過去に昇給した例があるか」と聞けば、制度が実際に動いているかも見えてきます。
A型事業所から一般就労を目指す選択肢もある
体調や働く力が整ってきたら、一般企業への就職を目指す選択肢もあります。A型で決まった時間に通い続けた経験や仕事のスキルは、次の就職を考える材料になります。
もちろん、すべての人が一般就労へ移る必要はありません。A型で安定して働き続けることが本人に合っているケースもあります。収入だけでなく、体調と生活を保てる働き方かどうかを基準に考えてください。
まとめ|A型事業所の給料は平均額より勤務条件で判断しよう
A型事業所の給料は、厚生労働省の令和6年度実績で全国平均91,451円です。令和元年度の78,971円から見ると上昇していますが、実際の月給は地域の最低賃金、時給、勤務時間、勤務日数で大きく変わります。
特に事業所を選ぶときは「時給だけ」を比べないことが大切です。1日の実働時間、交通費、利用料、昇給制度まで含めて、毎月いくら残るのかを考えてください。
求人票を見たら「時給×1日の勤務時間×月の勤務日数」を計算し、自分の月収を出すところから始めると、A型事業所同士を比較しやすくなります。
給料が少し高くても通い続けられなければ収入は安定しません。自分の体調や生活リズムに合い、無理なく働き続けられる条件まで含めて選ぶことが、長期的な収入につながります。
A型事業所の給料に関するよくある質問
- QA型事業所の給料の平均はいくらですか?
- A
厚生労働省が公表した令和6年度の平均賃金月額は91,451円です。ただし全国平均なので、実際の給料は地域の最低賃金、1日の勤務時間、勤務日数、事業所の時給設定によって変わります。
- QA型事業所は最低賃金より安い時給になることがありますか?
- A
A型では原則として雇用契約を結ぶため、地域別最低賃金が適用されます。ただし最低賃金には法令上の減額特例制度もあるため、個別条件に疑問がある場合は契約内容を確認し、必要なら労働局などへ相談してください。
- QA型事業所で月10万円以上もらうことはできますか?
- A
可能です。たとえば時給1,100円で1日5時間、月20日働けば額面は110,000円になります。ただし勤務時間や時給は事業所ごとに違い、欠勤などでも月収は変わるため、求人票から個別に計算する必要があります。
- QA型事業所の給料から利用料が引かれますか?
- A
A型は障害福祉サービスなので、所得区分によって利用者負担が生じる場合があります。生活保護世帯と市町村民税非課税世帯は負担上限0円です。実際の負担額や支払い方法は自治体・事業所に確認してください。
- QA型事業所の給料と障害年金は両方受け取れますか?
- A
A型で働き始めただけで障害年金が自動的に停止する制度ではありません。ただし障害年金は障害の状態を審査するため、就労状況が更新時の判断材料になる場合があります。個別の受給可否は年金事務所などで確認してください。

